彼岸花が咲きだした。内定が決まっていない学生にとっては、10月1日の内定式までには決めたいと焦る季節である。
前々回の「実際に留学生は就職できているのか」で、在留資格許可率80%と記したけれど、実際には在留資格を申請以前、つまり就職先が決まらない留学生も多い。
2022年卒外国人留学生の就職活動状況に関する調査(文献1)によると、来年度就職の内定率は今年7月時点で、国内学生は80%に対して留学生は39%に過ぎないと書かれている。
仕事として従事している大学の就職支援(留学生はほぼ来ない)で今相談に来る4年生は、よほどのんびりしていた学生か、公務員や大学入試がうまくいかなかった人たちである。(そもそも就職するつもりのない学生は相談には来ないし)一方、関わっているNPOでのネパールからの留学生は、どうしたらいいか戸惑っていて中々行動につながっていないケースが多いように見受けられる。
留学生にとって、就活はどんな壁があるのだろうか。
ちょっと前の調査になるが、経済産業省の2015年の「外国人留学生の就職及び定着状況に関する調査」(文献2)によると、「就職活動中に困ったこと」は、図1のグラフの通り。
つまり、まず「日本の就職活動の特徴と自国との違いを理解」し、「ビジネスの場で活かせる日本語能力を身に着ける」必要があるということが分かる。
私は、日本の中でしか就職したことがないが、他の国々と比較して仕事が決まるまでの過程は変わっているのだろうか。ネパールでは、同僚(公的機関)たちは、皆、親せき・知人の紹介(いわゆる、コネ)でほぼ決まっていた。(40年ほど前、私の新卒就活時代は、特に文系大卒の女性はコネ中心だったから、ちょっと前?の日本と同じ状況かな。)
今の日本の新卒生の就活は、
- どんな仕事に就くか考える(3年生春)
- インターンシップに参加する(3年生の夏~冬)
- 1の参加企業から早期選考の案内が来て本選考が始まる場合も(3年生1月~、でも今年はもうぼちぼち始まっている)
- 会社説明会に申し込む(3年生3月)
- エントリーシート(ES)を提出する(3年生3月~4年生4月)
- 面接を複数回する(3年生3月~4年生5月)
- 内定が出る(4年生4月~)
という流れが一般的。
なので、かなり早い時期から「どんな仕事が世の中には存在して(仕事理解)、自分はどんな仕事に向いているのか(自己理解)」を調べたり考えたりしなければならない。実際、今年は昨年就活が停滞した時期があったためか非常に早まっている感じ、3年生になる前から就職相談にくる学生も見受けられた。どの大学にも就職課があり対策はしていると思うが(就職率も大学の人気の大きな要素)、留学生までその情報が届いているかは心配である。文献1によると、留学生の就活開始時期の中心は4年生4月と遅い。留学生の多い大学は、日本の就活のスケジュールをしっかり伝達して、何をすればよいかサポートする必要がある。
そして、留学生はどんな採用過程を取るのかと言うと、
このグラフにあるように、企業の留学生の採用方法は「日本人学生と区別なく採用」が70%を超えている。
つまり、日本人学生と同様、読み書きが難しい日本語で、ESの定番「ガクチカ(学生時代力をいれたこと)」「自己PR」「志望動機」を書かなければならない。(接している中で、日本で就職したい留学生は、バイトなどでも鍛えられているためか日常会話はできるので、面接よりも書類通過が難しいように思う)実際、仕事に就いてからも読んだり書いたりする機会は多いと思われるので、日本語スキルは必須である。
次回は、求められる日本語レベルについてまとめていく予定。
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